中南米が日本を追い抜く日 / 構成・石田博士
日本はホント、いろんな国・地域に追い抜かれはじめてますな。最近、経済誌の記事やこのような新書のタイトルには危機感をあおるものが増えてきたように思います。でも、本当に日本経済はこのまま没落していく一方なのだろうか?
少し前にここで話題にしたアフリカもそうですが、中南米も多くの日本人にとってはまだまだ遠い存在のようです。ジェット機で丸々1日かけてようやくたどり着けるような遠い所、日本から見て地球の裏側にあたる所。そもそもかの地の様子を日常的に伝えてくれるメディアが少なすぎます。長野県のような地方特有の状況なのかもしれませんが、少なくともボクにとってはわずかな情報源を頼りに、より最近の海外事情をあれこれ漁るしかないような状況です。地方在住の身としては、ますます「井の中の蛙」になってしまいそうで怖いです。しっかりアンテナを張っておかなければいけませんね。
「遠交近攻」ではないですが、最近、ボクの興味は近隣の中国や朝鮮半島などよりもむしろアフリカや中南米のほうに向いています。地理的に遠い存在のこれらの国々と、日本は近い将来どのようなパートナーシップを組めるか、自分なりにあれこれ調べているところです。
まぁ、ともかくこの本で最近の中南米諸国の様子を知ることができたのは大きな収穫でした。これは三菱商事の駐在員の目を通して見たものですから、主にビジネスの視点からレポートしてくれているわけですが、中南米の秘めたパワーには驚かされます。また、現地社会で活躍し尊敬を得ている日本人および日系人が少なからずいるというのも痛快でしたし、その事を誇らしく思います。BRICsの一角を占めるブラジルへの期待度は当然高いのですが、他にもアルゼンチン、チリ、ベネズエラ、キューバ、コロンビア、ペルーなどなど、これまでは政情不安のために日本からの投資が伸び悩んでいたこれらの国々と、近い将来、ビジネスを通じた交流が深まる可能性は大いにあります。中南米における近年の産業発展はボクの想像以上ですし、何といってもかの地には日本にとって希少な地下資源が豊富にあります。また、アメリカや中国に代わる食糧供給源としても期待できそうです。日本が生きる道をここに求めるのは決して的外れではないでしょう。
個人的には、コロンビア大統領のアルバロ・ウリベ氏、ペルー大統領のアラン・ガルシア氏、ベネズエラ大統領のウゴ・チャベス氏の政権運営に今後も注目してゆきたいと思いました。いずれも開発独裁型の大統領ですが、彼らが優れた政治的資質を備えたリーダであれば、民主主義諸国の首脳よりも上手に、そして速やかに自国の発展を進めてゆくでしょうから。アフリカ同様、中南米もそれぞれにお国柄があります。豊かさの度合い、政情の安定度はまちまちですが、総じて反日感情の少ない国民性からみても、確かな友好関係を築いておくべき存在であることは間違いなさそうです。日本政府の外交手腕が問われるところですね。
また、海外に目を向けてみると、日本国および日本人を好意的に見てくれている人々は決して少なくないことがわかります。だからボクらは民間人レベルでも、反日的な近隣諸国との関係改善はそこそこにして、親日的な遠隔地諸国との関係をより一層大事にしながら、日本の将来のことを考えたほうが良いのではないでしょうか。そうすれば日本と中南米諸国は物理的距離を超えて接近し、互いを深く理解し合える関係になれるのではなんて思います。日本経済の持続的発展のカギも、きっとここにあるでしょう。
かつてイギリスの作家、ジェームズ・ヒルトンによってヒマラヤの奥地にあるとされた理想郷、シャングリラは、アンデスの奥地にこそ存在するのかもしれません。エル・ドラードという名の黄金郷として。そんな事を思わせてくれたこの本は、朝日新聞社サンパウロ支局長の石田博士さんの構成によるものです。
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