小松亮太クン in 岡谷カノラホール
。。。そんなわけで(って、どんなわけだ?)というのは、バンドネオン奏者、小松亮太クンのオフィシャル・ブログのタイトル。彼のブログによると、今回の「リオとブエノスの果実」公演は一夜でアルゼンチンとブラジルを味わえるお得なコンサートだということで、ボクらは昨晩(11/6)のコンサートをずっと心待ちにしていたのです。(画像はクリックすると拡大します)
思い起こせば8年前、彼が岡谷カノラホールの小ホールでコンサートをやってくれた時、直前まで都合がつかなかったため当日券でどうにか席を確保し、彼のバンドネオンを聴くことができたのが、ボクらにとっての亮太クンのコンサート初体験でした。当時、発売間もない『来るべきもの』というアルバムのCDディスクにサインを書いてもらいました。その後も吉祥寺のヘリオトロープ、ブルーノートTOKYOなどなど、各地で大小さまざまな彼のコンサートを聴いて回った時期がありました。とても懐かしく思えます。
ここ数年は彼のコンサートを聴きに行く機会がなかなか無く、しばらく遠ざかっていましたが、アルゼンチンタンゴの伝道師として、亮太くんが国内で海外で脚光を浴びはじめた頃から、再び岡谷カノラの、しかも大ホールで遭遇できた昨晩のコンサートまでの節目節目で彼のコンサートを聴いて来れたことにボクはしみじみと幸せを感じました。このホールのステージにはボクも何度か立ったことがあるので感動もひとしおです。もうデビュー10周年なんですね。ブルーノートTOKYOでは今回のツアーメンバーでもあるコンクミさん(バイオリン)のお腹の中に初めてのお子さんがいたようだったのですが、現在は3人のお子さんがおられるという話を聞くにつけ、彼のキャリアが積み重なっていくのと同じ歩調で、ボクら夫婦も少しずつ時をかさね円熟してきたなぁといった感慨がわくのです。そんなわけで、過ぎゆく時間が醸し出すノスタルジーを味わいながら、昨晩はアルゼンチンとブラジルを行ったり来たり、どちらの国の音楽も大好きなボクらにとっては、一粒で二度おいしい状態でした。
彼は昔から第一人者として、アルゼンチンタンゴを日本に紹介する役割を果たして来たのだけれど、いつもユーモアたっぷりに軽妙なトークで音楽の背景を解説してくれます。サービス精神旺盛な亮太クンのおかげで、ボクは最初はとっつきにくかったアルゼンチンタンゴという音楽に親しむことができたのです。一方、ブラジル音楽に関してはMIYA(宮沢和史)のおかげで若い頃から慣れ親しんでいるので違和感なく楽しめます。亮太クンはサンバ、ボサノバといった新世代にウケるブラジル音楽ばかりでなく、ショーロという古いタイプのブラジル音楽にも、今回挑戦してくれました。バンドネオン演奏付きのボサノバやショーロというのもなかなか聴ける機会がないので、これは思った以上に楽しめました。自身も気持ちよさそうに演奏していた亮太クンにこちらも感化され、それぞれの音楽世界にどっぷり浸かれました。
ギターの笹子重治さんは、THE BOOMのコンサートツアーなどでも何回か聴いたことがあって、大好きなギタリストの一人です。彼のギターは聴いていて本当に心地いいんです。何ていうか、すべてを包み込むような心地よさです。笹子さんと亮太クンとのステージ上の会話で、アルゼンチンとブラジルの音楽の違いをこんな風に語っていたのが印象的でした。「ブラジル音楽は気持ち良ければ何でもいいっていう感じだけど、アルゼンチンは工芸品のようだ。丁寧に作りこむ音楽なので、正直、やりづらいこともある。」といった説明は、両者の音楽の違いを端的に表現した、とてもわかりやすいものでした。お隣どうしの国なのに音楽はそんなにも違うんですね。
パーカッションの岡部さんが叩くパンデイロに演奏中ずっと注目してました。ボクらは夫婦でパンデイロ好きなので、叩いている人を見ると、つい手元を見入ってしまうんです。若干23歳、三枝クンのピアノも素敵でした。カノラにあるスタインウェイでタンゴの演奏を聴くのは初めてでしたが、クラシックのコンサートのとき以上に魅力的なピアノが聴けました。亮太クンと三枝クンとで演った三曲連続の掛け合いは迫真のタンゴでした。ブラジル音楽もいいけど、やはりこれこそがアルゼンチンタンゴ奏者としての彼らにとって、最高の聴かせどころだなぁと思いました。これぞタンゴの醍醐味といった感じで、聴いているこちらも震えが来ました。
マンドリンに似た楽器、バンドリンを弾くコンクミ(近藤久美子)さんを初めて見ました。彼女と笹子さんと二人で演奏していたショーロの曲がとっても気に入ってしまいました。バイオリンを弾く姿も相変わらずカッコいいけど、ノリノリでバンドリンを弾くコンクミさんは本当に達者な演奏でカッコよかったです。
約2時間、すっかり音楽に魅了されて過ごしました。最後のアンコール曲まで心踊らされっぱなしでした。1部はブラジル、2部はアルゼンチン、それぞれの国の国旗の色をモチーフにした衣装に着替えてステージに現れた亮太くん、パフォーマーとしてもさらに磨きがかかって楽しいコンサートを演出してくれました。客席からは温かな拍手がわく場面が何度もありました。彼らが奏でる音楽の魅力ももちろんですが、亮太クンのコンサートはいつも会場がこんな風に温かな雰囲気で満たされるのが良いところです。
前回と同様、今回もコンサート終了後にサイン会があったようですが、ボクはすでにサインを持っているので、ニューアルバム『小松亮太ザ・ピアソラ・ベスト』を買うと、そのまま家路についたのでした。車のなかで早速聴いてみましたが、ピアソラ曲集ということもあり、聴き応えのあるタンゴがコンサートの余韻を十分に引き継いでくれました。これも亮太クンの意欲作としてオススメの作品です。音質もとてもいい。(ただ、失礼ながらボーナストラックは文字どおり「蛇足」だと思います)
アルゼンチンタンゴはボクがジジイになっても聴いていてサマになる音楽でしょうから、これからも末長く亮太クンの音楽とともに歩んでゆきたいな。
関連記事:My Blog(2006.5.27)
本日のBGM:RYOTA KOMATSU / THE PIAZZOLLA BEST
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