気がつけば前回から約1か月近く更新できないままでした。この間のボクの暮らしぶりを正直に告白すれば、その日の仕事を終えて夜9時頃に帰宅するとやおらTVをつけ、プロ野球の中日戦を放映しているチャンネルを探し、その日の試合結果を確かめる、もしくは試合後半の模様を観戦する。それが無理な日は夜9時45分頃からのNHKニュース9のスポーツコーナーで結果を見る、そんな日々でした。
現金なもので、8月の首位ヤクルトと10ゲーム差がついていた頃は興味がなかったのに(ゆっくりテレビを観る暇もあまりなかったし)、いざ中日が物凄い追い上げを見せるようになってくると、毎日の結果が気になって仕方なくなっていたんです。
そしてとうとう、今週の火曜日(18日)対横浜戦で引き分けてセ・リーグ優勝を決めました。翌水曜日(19日)にはヤクルトにも勝ち、正真正銘の自力優勝という形にもなりました。落合監督は退任の花道をみずから用意して有終の美を飾ってくれたわけです。ファンとしては本当に大感激の二連覇でした。
さて、多くの方がすでにご存じのことと思いますが、かねてより球団内部では落合監督と坂井球団社長との確執があったようです。ドラゴンズが9月に行われた対巨人戦に負けたとき、坂井社長はガッツポーズをとって喜んだのだとか。自球団の敗戦に喜ぶ社長というのも不思議な姿なのですが、どうやら伏線として球団の赤字経営を何とかしろとの至上命題を負っていた坂井社長が「これで落合を辞めさせられる」と思って喜んだ。つまり、この時の敗戦によって高額年俸の監督をクビにする口実ができたのでホッとしたということなんでしょう。
こうしてもともとアンチ落合だった坂井社長に追われる形で落合さんは球団を去ることになりました。これまでの実績からすれば、また球団への貢献度を考えれば、その処遇はあまりに冷たいものです。中日球団にとって落合さんは最後までアウトローであり、外様(とざま)であったということも一因なのでしょう。
もっともその事を知った選手達が発憤して優勝を勝ちとったのですから、結果は球団にとっても選手達の今後にとっても良かったのでしょう。落合さんは1994年1月の監督就任の際に選手達にこんなことを言ったんだそうです。「おまえらは球団のために戦うわけじゃない、自分の生活を守るために戦うんだ」と。現役時代からたびたび所属チームのフロントと対立し、「オレ流」を貫いてきた一匹狼の落合さんが言いそうなことですが、これは「組織と個人」の関係においてなかなか核心を突いた言葉です。
ウチの職場もそうですが、お偉いさんは組織のなかの個人に対して滅私奉公を求めます。でも、当の個人としては「組織のなかで一生懸命働いたことが報われるのなら、稼がせてくれるのなら従いましょう」というのが本音でしょう。
ところが実際は、上層部では現場そっちのけで事業を継続するための資金繰りのことしか考えてくれない。これまでのような年功序列で賃金が高くなる年齢になると、いろんな手口で人件費のカットを迫ってくるわけです。
信賞必罰の落合流では何より試合での結果が求められますが、結果を出した者は厚遇します。もとより厳しいプロの世界です。勝負の世界に生きる者にとって、栄誉と高額報酬というのは最も魅力的な待遇でしょう。それを手にするために頑張るというのはまっとうなモチベーションの在り方です。でも、そのことが選手達の年俸を高騰させ、球団経営を圧迫してきた。経営者としての坂井社長と現場の責任者としての落合監督の思惑が相反するものになってしまうのは仕方のないことです。
おそらく球団幹部としては「あまり高くない年俸でそこそこ活躍して(盛りあげて)くれればいい」というのが本音なのではないかな。経営的にはそのほうがいいんだと。だから落合監督以前のドラゴンズは「万年2位」球団だったわけです。かつて10・8で巨人に敗れ、優勝はかなわなかったけれど、そこそこ盛り上げてくれた高木守道監督(当時)のような人が今の中日球団に求められる監督像なんでしょう。やっとわかってきました、なぜ今さら高木さんの再登板なのかということが。
でもボクらファンは二番でいいなんて思ってません、一番じゃなきゃダメなんです。
結局のところ「出過ぎた真似」をしてしまったわけですよ、落合さんは。それにしても一生懸命やって結果を出したことが逆にうとまれる世界というのも辛いもんですね。中日球団で采配をふるうことが落合監督にとって本当に幸せなことだったのでしょうか。「孤高の職人」を受け入れる度量の広さはもともと持ち合わせていない球団です。典型的な「ムラ社会」ですな。ボクが嫌いな「身内に甘く、よそ者に冷たい」世界ですよ。
今にして思うと、そんなところで8年間、落合さんは本当によくやってこられました。その反骨精神はボクも見習いたいものです。冷遇された球団に最高の栄誉をもたらし、そして静かに去ってゆく。大人ですね、本物のプロですね。素人が下手にコメントできる世界じゃないのです。だからネット言論を賑わせている落合さんへの下世話な批評はもう止めましょう。
プロとして勝負にこだわる姿勢をサポートしきれなかった球団幹部。もっとも世の中にはいたる所でこういった「経営者の事情と現場サイドの事情のすれ違い」が見られます。せっかくドラゴンズが優勝したのに、なぜこうも晴れ晴れしい気持ちになれないんだろう。ずーっと考えてきました。どうやら落合監督退任のてんまつは、ボク自身が今抱えている問題意識とダブっているようです。
もっとも落合さんには実力があるけど、ボクには何もないですから、組織に無理難題を押しつけられても耐えるしかないんですけどね。でも、弱い者は弱い者なりの戦い方を探る必要はありそうです。故スティーブ・ジョブズも言ってたっけ、"Stay Hungry , Stay Foolish"ってね。「満たされていない」ってことは、実は大事なことなのかもしれません。
ハングリー精神で明日を切り拓いて行けたらいいですね。
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